理化学研究所による雇止めの無効の判決を求める要請署名
理化学研究所が10年の雇用上限を口実に雇止めを通告したため、2023年3月末に380名の研究者らが雇用を失う危機にありました。これに対し5名の研究者・技師が雇止めの無効を求める訴訟を起こし、労働組合がストライキに訴えました。こうしたたたかいにより、一部に降格、キャリアチェンジを強いられながらも196名が雇用継続になりました。しかし、184名が雇止めにより理研での職を失いました。
5名の原告のうち元研究チームリーダーの裁判が結審し、12月20日に判決が出ることとなりました。
私たち理研の非正規雇用問題を解決するネットワークは、さいたま地方裁判所に対して、以下の雇い止めの無効の判決を求める署名に取り組むことにしました。 11月末に裁判所に提出します。締め切りは11月25日です。
ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
On Line 署名はこちらから御願いします → https://chng.it/dvpNYhNFhz
理化学研究所研究員 地位確認等請求事件
さいたま地方裁判所第5民事部御中
理化学研究所による雇止めの
無効の判決を求める要請署名
原告は、理化学研究所による2023年3月末の大量雇い止めにより研究チームリーダーから一研究員に降格となり、2011年4月から取り組んできた研究チームを失いました。 原告の研究(生体組織を蛍光で非侵襲的に可視化し、がんの早期検出に応用する研究)は、理化学研究所が掲げている第4期中長期目標・計画(2018年4月1日~2025年3月31日)に位置付けられており、この研究には過去6年間にわたって日本学術振興会から科学研究費補助金(科研費)が支給されています。2022年度から2024年度までは、「ヒト乳がんの光診断を目指した短波赤外蛍光分子イメージング技術の開発」という研究テーマで科研費が交付されています。科研費は理研の承認を得て申請しており、原告は少なくともその支給対象期間である2024年度(2025年3月末)までは研究が続けられると認識していました。しかし、理化学研究所は、無期転換権の行使を阻止するため2023年3月31日に10年雇用上限を理由に雇止めを強行しました。幸いにも雇い止め反対の世論と運動によって、理事長特例で2023年4月以降の研究は継続されていますが、原告は、チームリーダーから上級研究員に降格され、研究チームも解散となってしまいました。
昨年12月には、NHKの科学教育番組サイエンスZEROで「ノーベル賞が未来を照らす!化学賞&物理学賞徹底解説SPで、原告は生体蛍光イメージングの乳がん検出光造影剤として研究中の“量子ドット”について解説しました。原告のおこなっている「ヒト乳がんの光診断を目指した短波赤外蛍光分子イメージング技術の開発」は日本の未来にとって重要な研究です。それにもかかわらず理化学研究所は、原告を上級研究員に降格し、研究チームを解散させたのです。その結果、原告の研究には重大な支障が生じています。
日本の科学研究の将来を見据え、研究者の研究を阻害させないためにも、研究者の雇い止めや無期転換権阻止をさせないためにも、この裁判、判決はとても重要です。司法の判断として雇止め無効の判決を強く要請します。
2024年4月より次の署名を開始しました。
Change.org 新署名サイトは https://chng.it/ZBWZ4Nj2npです。
STOP 理研の雇止め!研究力低下をまねく
雇用期間の上限を撤廃してください
五神 真 理化学研究所理事長殿
理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク
理化学研究所の五神真理事長は、2023年3月までに184名の研究者・技師らの雇止めを強行しました。しかし、雇止め撤回を求める研究者・技師5名の裁判闘争などにより、理研は雇い止めの口実にしていた通算雇用期間の上限規制(10年上限)を撤廃すると公約しました(「新しい人事施策の導入について」2022年9月30日)。
ところが、理研は「アサインド・プロジェクト」という雇用上限を任期付き研究者・技術者の全ての契約書に導入しています。これは研究プロジェクトのように、研究や業務に期限があるかのように誤解させることをねらったものです。そもそも研究は臨時的・一時的な業務ではなく長期的な見通しをもって行うべきなのに、「アサインド・プロジェクト」は研究内容やその進捗、評価に関係なく契約更新の上限を一方的に押し付けるものです。そのねらいは、労働契約法18条の改正により契約更新で通算10年を超えた有期雇用の研究者に与えられた無期雇用転換権(一般労働者は通算5年)を与えないことにあります。まさに、脱法行為のための詭弁です。研究が継続し、業務もあるのに、職を失う研究者・技術者が今後も生まれる危険があります。今年の3月末までに16名が雇止めされました。
私たちが看過できないのは、こうした「アサインド・プロジェクト」の導入により、日本社会の深刻な問題となっている研究力低下に拍車がかかることです。
理研は、新規採用者に対して、募集時、採用時に研究者・技術者に7年程度、事務系職員には5年以内の雇用上限を設け、それ以後は転出するように促しています。これは理研に限らず、全国の大学、研究機関で広がっています。実際に、労働契約法18条の改正後、任期付き雇用の研究者の任期年数が短くなり、雇用が不安定になっています。
いわゆる質の高い論文数(Top10%論文)の世界ランキングで日本はこの20年で4位から13位に転落しています。研究機関のランキングでも理研は2016年の72位から2023年は117位に下がっています(Nature Index:2016-2023)。研究力低下の原因は、若手研究者に有期雇用が広がり、雇用が不安定になることで、腰を据えて研究できる環境が無くなり、時間のかかるチャレンジングな研究が出来なくなっていることにあります。
理研の研究者の雇止め、研究力低下をまねく雇用期間の上限は撤廃するべきです。
2023年3月末に、チームリーダーから一研究員に降格となった研究者が地位回復を、雇止めで職を失った技師2名が復職を求めて裁判を継続しています。私たち理研の非正規雇用問題を解決するネットワークは、理研本部のある和光市周辺の市民、労働組合、理化学研究所労働組合の役員などによる有志グループです。理研による違法な雇止めは、日本の研究力に大打撃を与えた蛮行です。二度と繰り返さないために、以下のことを理研に要請します。
【要請項目】
- 就業規則から「アサインド・プロジェクト」を削除し、雇用期間の上限を撤廃してください。
- 2023年3月末に違法に雇止めされた技師2人をただちに復職させてください。
- 同年3月末に降格、キャリアチェンジした研究者らをもとの地位、職場に戻してください。
【以下は2023年9月から2024年3月にかけて行った(旧)署名です。】
理化学研究所が184名を違法に雇止め!
技師2人を復職させ、降格した研究者らの
地位を回復してください
五神 真 理化学研究所理事長殿
理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク
理化学研究所の五神 真理事長は、2023年3月末までに184名の雇止めを強行しました。
これは「無期転換ルール」を定めた労働契約法18条に違反する行為です。
2013年施行の改正労働契約法により、有期雇用労働者は、契約更新で通算5年を超えると無期雇用への転換を申し込めるようになりました。14年、研究者は特例で通算10年に延長されました。
2016年、理研は一方的に就業規則を変更して、起算点を2013年にさかのぼって、研究者には10年、事務職員には5年の雇用上限を押し付ける不利益変更を強行しました。
理研は雇用上限を口実にした雇止めを通告。これにより380名が雇用を失う危機にありました(昨年4月1日現在)。裁判などのたたかいにより、一部に降格、キャリアチェンジを強いられながらも196名が雇用継続になりました。しかし、184名が雇止めにより理研での職を失いました。
理研による雇用上限の押しつけは、無期転換の適用を意図的に避けるための脱法行為です。そもそも有期労働契約の締結後に新たに更新上限を設けることは労働条件の不利益変更にあたります(22年10月26日、衆議院厚生労働委員会での厚生労働省労働基準局長答弁)。労働者に不利益な労働契約の変更は、労働者の合意なしには原則としてできません(労働契約法9条)。無期転換逃れのために雇用上限をさかのぼって押し付け、それを口実にして雇止めを強行するのは明白な違法行為です。
大量雇止めにより、文部科学大臣若手科学者賞などを受賞し、昨年は国際的な科学誌『ネイチャー』に論文が掲載され、卓越研究員だったユニットリーダーが、中国の大学の教授となったことが、メディアで報じられています。理研は卓越研究員の申請要件を満たすため、ユニットリーダーについて25年3月末まで契約更新可能だと文科省に報告しながら雇止めにしました。国会でも追及され、理研は調査のための第三者委員会を立ち上げました。国に虚偽申請をしたうえ、国益を損ねた理事長の責任は重大です。
理研は、130頭のマーモセット(南米に生息する小型サル)などの健康管理や実験業務を担当していた技師2名も雇止めにしました。サルの社会性の観察や、各研究チームの依頼でアルツハイマーやうつ病の薬剤実験なども行っていました。特別な訓練を受け、動物愛護法や環境省指針の熟知している専門家です。2人が外されてからマーモセットが死んだという情報が寄せられています。飼育環境の悪化が危惧されます。無職となった2人は、職場復帰を求めてさいたま地裁に提訴しています。
理研による違法な雇止めの撤回を求めて最初に裁判に訴えた研究室責任者は、雇用継続となったものの一研究員に降格となりました。地位回復を求めて裁判を続けています。
私たち理研の非正規雇用問題を解決するネットワークは、理研本部のある和光市周辺の市民、労働組合、理化学研究所労働組合の役員などによる有志グループです。理研による違法な雇止めは、日本の研究力に大打撃を与えた蛮行です。二度と繰り返させないためにも、以下のことを理研に要請します。
【要請内容】
- 違法に雇止めされた技師2人をただちに復職させてください。
- 降格、キャリアチェンジした研究者らをもとの地位、職場に戻してください。
- 卓越研究員制度の虚偽申請について、理事長の責任も含めて真相を明らかしてください。