理研の非正規雇用問題を解決する
ネットワーク(理研ネット)とは?
我々理研ネットは、理研で働く任期制職員の雇止め問題解決のために、2018年に理研本部のある和光市を中心とする地区の市民、労働組合、理研労役員が中心となり結成された有志グループです。
理化学研究所(理研)では、8割を超える職員が任期制職員であり、中には単年度契約を繰り返して10年、20年と研究所を支えている職員も多くいました。このような状況の中で、雇用の安定のために労働契約法が2012年に改正されました。理研で長年働く任期制職員は、改正された労働契約法18条(2013年4月1日施行)の趣旨に則れば、無期雇用への転換権を獲得できるはずですが、理研の経営陣は無期転換権獲得を避けるために事務系では5年の契約期間上限(起算日は2013年4月1日)で雇止め、研究系では10年の契約期間上限で雇止めをするという、就業規則の改定を2016年に行いました。
理研は、2018年3月に5年の契約期間緒上限に達する340名を超える事務系職員の雇止めを強行しようとしました。理研労は、この雇止めが労働契約法の趣旨に反する違法なものであることを、市民の皆さま、労働組合、国会議員、マスコミに訴え、多くの皆さまの支援の結果、雇止めを回避できました。
2018年3月の事務系の雇止めは回避できましたが、2023年3月には研究系の10年の契約期間上限での雇止めが予想されました。そこで、2018年11月21日に、事務系職員の雇止め回避の成果を踏まえて、研究系職員の雇止めをどのように回避するかを田村智子議員とともに語り合う集いを開催し、その場での雇止め当事者の訴えに答えるかたちで、理研ネットが結成されました。
理研ネットでは、雇止め当事者にも参加いただき、月に一回の会合、理研ネットニュースでの活動報告を行いながら、2023年3月の研究系職員の10年の契約期間上限による雇止め阻止のために活動を継続してきました。我々の活動と皆さまの御支援により、雇止め対象の研究系職員の半数に雇用の道を開くことができました。しかし、残念ながら全面的な雇止めの撤回はできず、現在も失職した職員の復職、待遇などを変えられた職員の回復を求めて、また、今後の雇止めの阻止を目指して活動を行っております。
この間の理研ネットの活動の情報は、ご支援いただいた皆様にお知らせしなくてはなりませんでしたが、不十分でした。そこで今回、理研ネットの活動を広く皆様にご紹介するために、ホームページを開設致します。
出典: 2023年9月11日 「理研の非正規雇用問題を解決するネットワーク(理研ネット)のホームページ開設にあたって」
著者: 理化学研究所労働組合 委員長 金井保之